事故から4年半経過した段階での相談
今回は、50代女性の交通事故案件です。
被害者は父親と二人暮らしで、介護職として働きながら父親の介護も行っていました。
事故は、自転車で走行中、停車中の車の右側を通過しようとしたところ、突然ドアが開き、そのまま衝突したというものです。
事故後、てんかん発作や嗅覚障害などの症状が残りました。
しかし、当事務所に相談があったのは事故から約4年半経過した時点でした。
すでに保険会社による事前認定が行われており、
・てんかん 9級
のみが認定されている状態でした。
一方で、嗅覚障害については書類不備を理由に後遺障害非該当とされていました。
このままでは数百万円以上の賠償を失う可能性
本件で問題だったのは次の点です。
・嗅覚障害の後遺障害申請が適切に行われていない
・逸失利益が低く算定されている
・休業損害が給与収入のみで計算されている
・過失割合が10%とされている
特に、嗅覚障害が認定されないままだと、
後遺障害等級が下がり、逸失利益が大きく減額される可能性がありました。
弁護士介入後、嗅覚障害の追加申請を実施
受任後、嗅覚障害について医療記録などを整理し、追加申請を行いました。
その結果、
・てんかん 9級
・嗅覚脱失 12級
が認定され、併合8級となりました。
後遺障害等級が変わることで、逸失利益や慰謝料の算定も大きく変わります。
保険会社の最初の提示は約1041万円程度
弁護士介入直後に保険会社から提示された金額は次のとおりでした。
休業損害
約540万円
傷害慰謝料
約118万円
後遺障害慰謝料
450万円
後遺障害逸失利益
約502万円
逸失利益については
・基礎収入 約140万円
・労働能力喪失率 35%(9級)
という計算でした。
さらに、過失割合も
被害者10%
とされていました。
交渉により大幅増額で示談成立
交渉の結果、最終的な賠償内容は次のとおりとなりました。
休業損害
約812万円
被害者は父親の介護を担っていたことから、給与所得だけではなく家事従事者としての評価を主張しました。
その結果、休業損害は大幅に増額しました。
傷害慰謝料
236万円(裁判基準満額)
後遺障害慰謝料
830万円(裁判基準満額)
後遺障害逸失利益
約1754万円
計算の前提は
・家事従事者基礎収入の約90%
・労働能力喪失率45%(8級)
となりました。
てんかんの場合、同じ9級でも高次脳機能障害と比べて
「労働能力喪失は小さい」として争われることが多く、
訴訟では労働能力喪失率が10〜20%程度と主張されるケースもあります。
本件では、被害者の就労状況などを踏まえて交渉し、45%を前提とした逸失利益で解決しました。
過失割合も10%から0%に修正
保険会社は当初、バイク事故の基準を参考にして
被害者10%
と主張していました。
しかし、自転車はバイクより交通弱者であることなどを踏まえて交渉し、**最終的に過失0%**で示談となりました。
最終的な賠償額
自賠責保険
819万円
任意保険
2500万円
合計3319万円
で解決しました。
この事案のポイント
本件では次の点が結果を大きく左右しました。
・嗅覚障害の追加申請により併合8級を獲得
・家事従事者として休業損害・逸失利益を再計算
・過失割合を10%から0%へ修正
事故から4年以上経過している案件でも、適切な対応により賠償額が大きく変わることがあります。
交通事故の後遺障害や損害額でお悩みの方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。


