【解決事例】80代男性の死亡事故で3300万円を獲得|青信号横断中に車にはねられたケース

こんにちは。
交通事故案件を多数取り扱っている弁護士の中里です。
今回は、80代男性の死亡事故について、実際にご依頼を受けて解決した事例をご紹介します。

事故の概要

被害者は80代の男性で、アルバイト勤務をされながら年金も受給していました。
青信号の横断歩道を歩行中に、車にはねられた交通事故です。
過失割合は被害者0%という明らかな被害者側有利の事故でした。

ご遺族からのご相談内容

事故後すぐに救急搬送されましたが、最初に運ばれた病院では、頚部や肋骨の多数骨折、そして血胸(肺と胸壁の間に血がたまる状態)が確認されたにもかかわらず、入院を断られ自宅へ帰されたとのことでした。
その後、かかりつけの内科医に相談し、別の病院へ紹介されて入院しましたが、残念ながら事故から約10日後に亡くなられてしまいました。

死因は「肺炎」とされ、事故との因果関係が認められないのではないかと、ご遺族は非常に不安を感じておられました。
医療機関の初期対応に疑問もあり、医療過誤訴訟も検討しましたが、証拠収集の難しさや費用・時間を考慮し、まずは交通事故と死亡の因果関係を前提とした損害賠償請求で進める方針をとりました。

自賠責保険金の請求と認定

まず、自賠責保険への請求を行いました。
結果として、事故と死亡との因果関係が認められ、約2200万円の自賠責保険金が支払われました。
(※高齢者の場合、必ずしも自賠責の死亡保険金が満額3000万円支払われるとは限りません。)

任意保険会社との交渉

次に、裁判基準で損害額を算定し、自賠責保険金を超える部分について相手方任意保険会社に請求を行いました。
死亡事故では示談交渉が難航し、訴訟に発展するケースが多いのですが、今回は意外な展開でした。
初回の交渉段階で、相手方保険会社が妥当な裁判基準での金額を提示してきたのです。

訴訟に進めば、増額の可能性もある一方で、減額リスクや時間的・経済的負担も無視できません。
ご遺族とも慎重に協議した結果、「訴訟までは望まない」とのご意向で、示談での早期解決となりました。

最終的な賠償金額

  • 死亡慰謝料:2300万円
  • 逸失利益(就労・年金分):約800万円
  • 葬儀費用:約140万円

既払い金を控除後、相手方任意保険会社から約1100万円を受領。
自賠責保険金2200万円と合わせて、総額3300万円の賠償金を獲得することができました。

※賠償金額は、被害者の年齢・収入・年金額・過失割合などによって変動します。

弁護士からのコメント

高齢者の死亡事故では、事故と死亡との因果関係が争われることも少なくありません。
しかし、今回のように、事故直後から継続的な症状や経過が明らかであれば、医学的にも事故との関連が認められる可能性があります。
早期に弁護士へ相談し、適切な証拠を収集・整理することが重要です。

当事務所では、高齢者の死亡事故案件についても豊富な解決実績があります。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。