休業損害についての注意点

関東は、梅雨入りして、だんだんと蒸し暑さが増してきました。

汗っかきな私にとっては、嫌な季節がやってまいりました。

さて、今回の記事では、交通事故被害に遭われた方の休業損害についての注意点をいくつかご紹介していこと思います。

【注意点①】

休業する際は、必ず医師の「休業が必要である」旨の診断書や意見書を取るべし

痛みがあるからといって、仕事を休んだ分すべてが休業損害として賠償されるわけではありません。

休業損害は、交通事故の受傷により、その治療や療養のために休業する「必要性かつ相当性」が認められないかぎり、賠償を受けることができないことに注意をしてください。

主治医が、本件事故と因果関係のある症状によって、休業する必要性があると診断してくれないかぎり、休業の必要性が認められない可能性があります。

また、例えば、医師が少なくとも、診断日から1か月間は休業を要すると期間を区切っていたのに、それ以上に自己判断で休業を続けてしまうことは、休業の相当性が認められない可能性が高いといえます。

ここで、医師に休業が必要と判断をしてもらえなくても、休業損害を相手方保険会社等から支払ってもらえているけど?

と疑問に思われた方がいるかもしれませんが、それはあくまでも、結果論であって、厳密な審査・判断がなされていないから、たまたま休業損害の支払いを受けていることが、とりあえずできているにすぎません。

このような場合には、相手方が厳しく争ってくる場合には、一度相手方が支払っているにもかかわらず、休業する必要性が認められないとして、休業損害の返金ないし慰謝料との相殺を要求してくることも少なくありません。

【注意点②】

不必要に長い休業をしていると相手方よりマークされやすい属性の方は下記のような属性の方です。

⑴ 軽微な事故でずっと休み続ける方

例えば、車の修理金額が10万円未満であったり、車の損傷の程度が軽微である場合(駐車場内の事故など)、一番ひどい場合には、事故と治療との間に因果関係はない(その事故でケガなどしない)として、休業損害だけでなく治療費すら認めてくれないこともあります。

修理代が数十万円でも、なかには、痛みをこらえて、一度も仕事を休まない方も少なくないなかで、修理金額が低額であるのに不必要に長く休業している場合などは、休業の必要性と相当性の立証が極めて難しいケースとなります。

⑵ 事故前より仕事が安定していなかった方

事故に遭う前までに安定した収入がなかった方などは、相手方保険会社より、休業損害で生活費を得ようとしていると誤解されることもあるため、注意が必要です。

⑶ 自営業の方

自営業の方で、事故に関係なく景気の影響などにより収入の減少が考えられるにも関わらず、事故を奇禍として休業損害を請求していると誤解されるケースもあります。

以上みてきたように、休業損害は相手方に争われるとなかなか休業の必要性かつ相当性を立証するのが難しいケースも少なくないため、休業するのであれば、医師や弁護士に必ず相談することをおすすめいたします。