交通事故業務を多く取り扱っている東京の弁護士の中里です。
今回は、バイクで走行中に右折車と衝突した50代男性のケースをご紹介します。
事故態様と過失割合
ご依頼者は、直進中のバイクを運転していたところ、対向車線から右折してきた自動車と衝突しました。
別冊判例タイムズNo.38【189】図では、通常、バイク15%:自動車85%が基本過失割合とされています。
しかし、現場の道路構造や右折車の注意義務違反の程度を詳細に主張した結果、
最終的には、当方10%:相手方90%という有利な過失割合での示談解決となりました。
後遺障害と認定結果
ご依頼者は、事故によって右膝の痛みとしびれが残り、
自賠責において後遺障害等級14級9号(局部に神経症状を残すもの)が認定されました。
賠償金の内訳
項目 | 金額(約) | 備考 |
---|---|---|
休業損害 | 506万円 | 会社員としての減収を主張し満額認定 |
傷害慰謝料 | 208万円 | 赤本Ⅰ基準100%(裁判基準満額) |
後遺障害慰謝料 | 110万円 | 赤本基準100%(裁判基準満額) |
後遺障害逸失利益 | 153万円 | 喪失率5%、喪失期間7年認定 |
合計 | 約977万円 |
過失10%を控除し、さらに既払い金約508万円を控除した結果、
被害者の方が実際に受け取れた金額は約450万円となりました。
今回のポイント
今回の最大のポイントは、
14級9号でありながら「労働能力喪失期間7年」を認めさせたことです。
通常、14級の場合、裁判例・実務上は3~5年程度の労働能力喪失期間が採用されることが多いです。
しかし、本件では、被害者の年齢・職種・後遺症状の継続性を丁寧に主張立証し、
「職務への影響が長期間継続する」との合理的根拠を示すことで、7年間の喪失期間を認めさせることに成功しました。
弁護士からのコメント
14級9号は、後遺障害の中でも比較的軽度と見なされやすく、
保険会社からは「せいぜい数年程度の喪失期間」と低く評価される傾向があります。
しかし、痛みやしびれが仕事に与える影響を丁寧に説明し、医証や勤務状況を的確に整理することで、
賠償額を大きく伸ばすことが可能です。
交通事故の後遺障害で納得のいかない提示を受けた場合は、
ぜひ一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。